近年の情報通信システムの発展は、私たちの生活を大きく変えてきました。今後も、新しい通信技術と情報処理技術が開発され、情報通信システムは人間生活の利便性の向上に貢献してゆくものと考えられます。このような急速な進歩が続く情報通信分野で、進歩に追従し、さらに自らイノベーションの先頭に立つ人材を育成するためには、変化の中でも普遍的な技術の根幹を十分に理解し、さらに、それを応用する能力を教育することが不可欠です。そのために本学科では、物理と数学の基盤をしっかりと身に着けた上で、通信の要素技術から、通信システムの開発・運営の技術までを習得できるカリキュラムを編成しています。
専門基幹科目および専門基礎科目では、後に開講される専門科目群で必要となる、数学と物理を中心とした基礎学力を身に付けることを目標としています。専門科目群では、ハードウェア、ソフトウェアを問わず情報通信システムを構築・運用するために必要な知見を得るために、また、学生が授業科目の中から各自の志望進路と適性を見出すことができるように、光・電波などの物理的な側面に関する科目から、情報処理やシステムの数理に関する科目まで、重要性に応じて絞り込んだ科目群を選んで開講しています。
本学科では、科目選択の目安となるように、通信系履修モデルと情報系履修モデルの二つの履修モデルが用意されています。通信系履修モデルでは、電子デバイスから光ファイバによる通信網構築まで、通信基盤のハードウェア、運営面を学習することを目的とした履修モデルです。
これに従って履修した場合、電気通信主任技術者資格試験の一部科目免除、第一級陸上無線技士、第二級・第三級海上特殊無線技士を取得すことができます。情報系履修モデルでは、ディジタル回路などコンピュータ工学の基礎から、インターネットなど情報通信システムの数理的な側面を学習し、通信システムを指向した情報処理技術者を目指すことができます。もちろん学生は、両方のモデルに含まれる科目を自由に組み合わせて履修することもできます。
2年後期から3年後期までの3つのセメスターでは、実験科目が開講されています。これらの実験科目では、座学で学習した通信システム技術を、再度自分の手で実験し、実践的に確認することができます。また、コンピュータプログラミングに関する演習は、2年後期で基本的な技術を学び、3年前期で基本から応用へと展開するカリキュラム編成となっています。こちらも学生自らが実際に動作するプログラムを書くスキルを、無理なく身につけることができます。
4年次の卒業研究では、全学生が各教員の研究室に分かれて配属され、それぞれが教員の指導のもと研究を進めます。この中で、問題発見能力、問題解決能力と思考力を磨き、さらに研究発表を通じてプレゼンテーション能力を身に付けることができます。このような研究活動を通じて、情報通信システム分野に強い関心を持ち、より専門性の高い技術者・研究者を志望するに至った学生は、大学院へ進学し、さらに専門的な知識と能力を身につけ、より高度な研究を行うことができます。